(古都さんぽ)里中満智子が歩く:8 飛鳥寺~万葉文化館 「健さん」似の大仏

朝日新聞デジタル 2016年9月10日

我が国に仏教が伝わってきて最初に建てられた本格的な寺が飛鳥寺だ。建立発願者は蘇我馬子。蘇我氏と物部氏は、仏教対神道の勢力争いのトップ氏族として競い合い、聖徳太子を味方に付けた蘇我氏が勝利し、この後、蘇我氏の「わが世の春」が続くことになる。飛鳥寺はそんな蘇我氏の権勢を表すとともに、世の人々に仏教思想ログイン前の続きを浸透させていくためにも、熱意を込めて建立されたのだろう。

いわゆる大化の改新のきっかけとなった中大兄皇子(後の天智天皇)と、中臣鎌足の出会いの蹴鞠(けまり)の会はこの寺の庭で行われたとされている。また皮肉にも、打倒蘇我氏のために結集した中大兄軍の本拠地はこの寺に置かれた。蘇我氏は滅び、飛鳥寺は残った。

その後、2度の落雷火災により本堂は焼失、現在残っている建築物は江戸時代に再建された講堂だけ。しかし、ありがたいことに推古天皇の時代に造られた本尊、飛鳥大仏は今に残る。

渡来系の鞍作止利(くらつくりのとり)により造られたと言われる飛鳥大仏は、前記の金堂焼失により雨ざらしとなり、破損してバラバラになった時期があった。後世の補修によりもとの形に整えられて今に至る。修理の跡のつぎはぎが見えるが、我が国の仏教の夜明けを告げる仏像だ。

何かを内に秘めて寡黙に佇(たたず)んでいるそのお姿を初めて見た時に私は「高倉健さんに似ている」と思った。

飛鳥寺から東南に5分ほど歩くと奈良県立万葉文化館がある。万葉集にゆかりのある人々とその時代を、分かりやすく体験出来るようにと設立された。この館の建築がきっかけで富本銭(ふほんせん)の鋳造所跡が発掘された。我が国最古の銭である富本銭はさほど普及しなかったが、経済活動が物々交換から銭へと移る「近代経済への夜明け」を告げる銭だ。館の建物はこの鋳造所を上から覗(のぞ)けるように渡り廊下が作られている。

万葉文化館のすぐ近くには、謎の石像物「酒船石(さかふねいし)」と水を利用した占いの施設と言われている「亀形石造物」がある。どちらも用途についてはまだ解明されていない。だからこそ想像力をかき立ててくれる魅力的な場所となっている。

     ◇

さとなか・まちこ 1948年生まれ。マンガ家。持統天皇を描いた「天上の虹」(全23巻)のほか「海のオーロラ」など作品多数。

■歩き方
飛鳥寺は奈良県明日香村飛鳥682。拝観料は一般350円など。県立万葉文化館の観覧料は一般600円などで、基本的に月曜休館。

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