
産経新聞 9月8日(木)
鎌倉時代前期に再建されたとみられる興福寺の国宝・三重塔内部に施された極彩色の文様を、デジタルで再現したバーチャルリアリティー(VR)映像が凸版印刷(本社・東京都)により制作された。特別公開中の三重塔初層の近くで10月1~10日、眼鏡のように装着する装置を使ってVR体験が楽しめる。
三重塔は平安時代後期に建てられ焼失後、再建。興福寺伽藍(がらん)のなかで北円堂(国宝)とともに最古の建造物で、初層には千体仏や文様が描かれていたが、剥落(はくらく)するなどし現在は一部となっている。
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凸版印刷は塔内部を細かくデジタル撮影し、データを取得。文様彩色画師だった故・山崎昭二郎さんと大山明彦・奈良教育大学教授が平成4年に作製した彩色復元模写を参考に、鮮やかな彩色を再現した塔内の様子を鑑賞できる映像を制作した。装置を装着すると、タイムスリップしたかのようなVR体験(約3分間)を楽しめる。
三重塔の公開が始まった先月に行われた体験では拝観者らが立ち寄り、人気を集めた。興福寺の辻明俊執事は「今回の試みは『平成の彩色再現』として貴重。800年ほど前の空間を最新技術で体感いただき、文化財保護について考える機会になれば」としている。
体験場所は三重塔西側の興福寺会館前。対象は13歳以上。無料だが、特別公開の拝観券(一般千円)の提示が必要。
公開に関する問い合わせは興福寺(電)0742・22・7755。
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